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とある夢女の雑記ブログ

/ 2019/07/13

くんちゃんはウザいわけではなかった。“長女視点”の「未来のミライ」の感想と考察

未来のミライ公式サイトのスクリーンショット

画像出典:「未来のミライ」公式サイトのスクリーンショットより

この映画が公開された当初から、Twitterなどで見かけた感想が「くんちゃん ウザい」だったわけですが。

私も予告を見る限りではそう思う人は多いだろうなぁと思っていて、そして昨日みていた金曜ロードショー。

Twitterではやはり「くんちゃんウザイ」「30分で観るのやめた」「つまらん・つまんない」という声が上がる中、私が映画をみて抱いた気持ちは「親が構わなさすぎでしょ」というのと「くんちゃん私か?」でした。

感想をみていて、人によって捉え方が異なるのですが、分けてみるとこんな感じです。

くんちゃんがうざい派、親がダメ派(主に子持ちの感想)、くんちゃんの気持ちがわかりすぎる派(長男長女の感想)

※くんちゃんが受け付けられないという理由に、声優が無理という話も多いのですが、今はその話は省きます。(個人的には子供をあてなかったのはあえてというか演出な気がする)

そして途中の少年のことやらなんやらネタバレしているのでご注意。

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長男長女(長子)にとってはトラウマ映画になりそう

ワガママな4歳「くんちゃん」

ざっくりとした物語説明は、主人公である“くんちゃん”に妹ができて、両親がそちらばかり構ってしまうのでくんちゃんは何かと両親の気を引こうとしたり、両親の愛情を受けている妹に対してちょっと意地悪になっていきます。

この姿が、見る人によっては「ただワガママに騒いでいて、妹に物を投げつける嫌な子供」という風に映るのだと思います。

両親は両親で妹の方につきっきりで、くんちゃんがどうしてそういうことをするのか分からずに、「あなたの妹なのよ」や「お兄ちゃんでしょ」という言葉を言ってしまう。

くんちゃんがどうしてそんなことをしてしまうのかは、妹という存在ができて、みんなが妹に構ってしまう。わかりやすい言葉で言えば『妹に対する嫉妬』ですね。

物を投げつけたりするんですが、くんちゃんは“お兄ちゃん”な面もちゃんと見せようとはしていたんです。
それが眠っている妹に対して、外に出たら色んなことを教えてあげるよと言っていたり、大好きな電車のことを教えたり。
でもそのよかれとやってみた行動が、妹が眠っている時にやったりしてしまったので、母親に怒られてしまう。(私にも思い当たるふしがありすぎる)

ただ、ここで思い出してほしいのは、くんちゃんは4歳なんですよ。

まだまだ甘えたい盛りの年頃で、4歳という年齢にあれこれと言い聞かせるには“子供すぎる”わけです。

同じ子供と言えば「クレヨンしんちゃん」のしんちゃんは5歳ですが、あちらはしんちゃんが特殊すぎるくらいにいいお兄ちゃんをやっています。

ただ、くんちゃんの方が現実の子供にかなり近く描かれている。

映画を見終わって思ったのは、「細田監督、めちゃくちゃ子供の行動とか心理とか観察してるわ…」でした。

そしてそんなくんちゃん、「好きくない」という言葉をよく使うのですが、「嫌い」とは言わない。

妹や両親に対しても「好きくない」という言葉を使いますが、くんちゃんなりに妹のことは好きになりたいのだと思います。というか好きなんだと思うんです。

ただ両親が構ってくれないことや、妹に対してよかれとやっていた行動で怒られたりして、その反抗心から素直に妹を可愛がるということができない。

“おままごと”が好きな子供なら、もう少し聞き分けがいいのだろうか

私の話を持ち出すと、私は4姉妹の長女なのですが、次女は4歳下でこの物語のくんちゃんと未来ちゃんと同じ年齢差です。

私の場合は「お姉ちゃんになる」というのが嬉しくて、くんちゃんのように「やだ!」という気持ちも、そのことに対して反感を持つこともなかったのですが、男の子だと難しいのかな?と感じました。

おままごとが好きな子っていますよね。「お姉ちゃん」もその延長線上だと思っていて、それでお姉ちゃんというポジションを私は素直に受け入れられたのだと思います。

構ってくれない反抗心から暴れまわる子供に。子育ての難しさ

妹のことを「好きくない」というくんちゃん。

お母さんのことを困らせたり、お父さんに駄々をこねてみたりしますが、お母さんはただ怒るだけ。そしてお父さんもどうしたらいいのかとオロオロ。

お母さんは怒鳴ってしまったことに対して反省をしています。

そう、お母さん自身もこれではいけないとはわかっているんです。わかっているけど、子育てとなるとなかなか冷静になれない。

子育て経験者の感想では「親がダメ」「構わなさすぎ」というコメントが多く、本当に見た人によってとらえ方が変わる物語だなと思いました。

両親もいっぱいいっぱいなんだというのはわかるんです。

特に、兄弟姉妹が多かったりすると、上の子に対して厳しくしすぎてしまったり、この物語のように「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢して」と言ってしまったり。

実際、うちは4姉妹ですが、私と次女はギャンギャン言われながら育ってきました。それに比べて三女四女は比較的のびのびと育てられています。(うちは四女が未熟児で生まれたというのもあり、大変なことも多かったのですが…)

でもこれは仕方がない!親も子育て初心者なわけです。

上の子をちょっと厳しめに育てて、それから親も子育てOKラインを学びつつ、ちょっとずつ緩くなり、自由に育った三女は四姉妹の中でもかなり肝が据わってます。

親もいっぱいいっぱいなのだということを理解できないと、ただダメな親という印象が深くなってしまいます。

(まあ、子育て済みの親からみてもあの親がダメだという意見が多いので、本当にダメな親ではあr…)

だた、毒親に育てられたという人は、傷を抉られる可能性が高い(フラッシュバックとか)ので見ない方がいいと思います…。

子供は映画のように荒らしたりするのか?

物語の中で、女の子(のちに母親の幼少期だとわかる)と家の中を荒らしまくるシーンがあるんですが。

そうしたくなる気持ちもわかる!!わかるよ!!!と、正直私はくんちゃんたちの行動に共感しまくりでした。

家の中を荒らすまではなかったんですが、なんだかんだ構われることが少なかったり怒られることも多かった私は、むしゃくしゃして畑の人参を引っこ抜きまくってストレスを発散するという行動を幼少期にしていたことがあったので…(´・ω・`)

子供はストレス発散の正しい方法というのがわからないので、身近なものでぶつけてしまうのも無理はないと思うんです…。

大人ですら人にぶつける人がいるじゃないですか…(´・ω・`)

ちなみに怒られるシーン(母親の方の祖母)がかなりリアリティありすぎて、あれを見ながら私は泣きました。

荒らしたけども、本当は困らせたいというわけではないんですよ……他のところで発散できないから。気にかけてもらえないから寂しいんですよ。

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物語の世界観について

この物語は、未来ちゃんが未来からやってきます。お話も色んな時代に飛んだりと、現実だけどファンタジックに進んでいきます。

結局、いったりきたりしてどういうこと?という方も多いので、個人的にかなりわかりやすかった感想のリンクを貼っておきます。

はじめは未来の未来ちゃんと今のくんちゃんの物語だと思っていたんです。でもどうやらそうではないらしい。

途中で曽祖父がでてきたり、イケメンとの言い合いがはじまったり。(すべてを理解した私は軽率にイケメンとすら言えn……)

上の記事を読んだことによって、疑問が全てが解決したんですが、解決したと同時に「これはかなりエグくない…?」と思いました。

謎だった未来の東京駅のシーン

物語の終盤で、家族と出かけることになっていたくんちゃんはやはりぐずります。

そんな時、再び不思議な現象が起きて、くんちゃんが出会ったのは黒髪の少年でした。

この二人のやり取りを見ている時に、「なんだか(黒髪の少年は)自分自身に言っているようだな」と感じたんです。

なんというか、「どういう言葉を言ったらくんちゃんが嫌がるのか、ムキになるのかということがわかっている」というか。

結果的にその少年が未来のくんちゃんであるということで、それらの疑問は解決するのですが。

そして電車に乗ったくんちゃんは、未来の東京駅へたどり着きます。

ここから先は上の記事でも書かれていた通りのこと(むしろそちらが詳しいので読んで欲しい)なのである程度省きますが、東京駅で迷子になったくんちゃん、ロボットに「あなたの失くしたものは自分自身、ですね?」と聞かれるのです。

今のくんちゃんで見ていた私は、上の記事を読むまで「話が唐突すぎるぞ」と思っていたんですが、どうしてこういうことを言ったのか、この記事を読んでようやく理解ができました。

この物語は未来のくんちゃんによる話なのかもしれない、と。

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未来のくんちゃんはどうしてクールに育ってしまったのか

最初に映画を見終わって私が思ったのは、あのワガママ放題だったくんちゃんは、どう成長したらあの未来のくんちゃんになるんだろう?という点でした。

映画のワガママ放題のままに育っていたら、未来のくんちゃんはもう少しヤンチャな少年に育っているのではないか?と思うんです。

今のくんちゃんを見ていたら、未来のくんちゃんはかなり落ち着きすぎていると思います。

ここで思い出してほしいのが、視聴者がくんちゃんの両親に対して「もっと構ってあげてよ!」と思っている方がいるということ。

両親は、「子供はいつの間にか成長している(要約)」なんて言っていましたが、そう、結局両親はくんちゃんに対して「成長したな」と感じただけで、くんちゃんに何もしていない。

視聴者のその想いが報われることもなく、あのままお兄ちゃんとして色んなことを我慢してきた結果、未来のくんちゃんが完成してしまった。

これかなり残酷すぎませんか?ねえ。細田監督とんでもないわ。

映画の最後では、兄妹で笑いあってはいましたが、最後のくんちゃんの表情を見ているのが私はつらくなりました…。

“お兄ちゃん”として色んなことを悟ってしまったのだ、と。だからロボットは「あなたの失くしたものは自分自身、ですね?」と言ったんだろうな。

そしてくんちゃんと比べて未来ちゃんは表情が豊かなんですが、くんちゃんとは対照的にかなりのびのび育てられたんだろうな、と。(この対比もエグいなぁと思った)

あとは…もう、なんでしょう。

私が長女だというのもあるんですが、未来ちゃんの「もっとお母さんを大事にして!」という言葉がかなりきついなと思いました。

本当は大事にしたいし、大好きなんですよ。でもそうできない自分に対して「自分は可愛くない」と言って。き…きつい…。

もしこの物語が未来のくんちゃんの空想なら、『くんちゃん、4歳にしては語彙力が高いよな……』と感じていたのにも納得がいきます。(だからあのキャスティングだったのだろうと個人的に思っている)

そして、自分のことをはじめて「可愛くない」と弱音を吐くやりとりですが、空想だとしたらその幼少期のくんちゃんに「くんちゃんは可愛い」という言葉をかけてくれる人はいなかったのでは…?(寝ているところのシーンはありましたが、起きてる時に言えと)

ずっと見ていて、不思議な出来事以外のところでくんちゃんを気にかける人間がいなさすぎて、かなりきついなと思いました。

未来のくんちゃん、確かにイケメンだけど、幼少期からどう過ごしてきたのかって考えるとかなりきついよ……

私がこの映画の感想を一言でまとめるなら、大人ですらストレスを人にぶつけたりする中で、4歳児に良い子だから我慢しろというのはどう考えても無理!!!以上。

この作品、本当に見方は人それぞれだなと感じました。

※長男長女でも、そこまで思わなかったという方もいるので本当に人それぞれです。

共感しなかった人は「下の子と同じように愛情向けてもらってたな」とか「お姉ちゃんと言われたことはなかった」と言っていたので、『お兄ちゃん』『お姉ちゃん』は呪いの言葉のようだ。。。

子育てって難しいね!!!

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